そもそも<19>collection−ナインティーン・コレクション―というタイトルが私は気にいらない。何が気に入らないって、山かっこが気にいらない。じゃあ山かっこをはずせばいいじゃないかという話になるが、はずしてしまうと今度はコレクションが十九あるという意味になってしまう。違う。それで仕方がないから未だにあのタイトルのまま、開設当時から置いている。
早い話、二十一、二の頃に一度創作の筆を折ったのだが、それ以前のものをまとめて、短編を除外し、全部ひっくるめてコーナーにしてあるだけなのだが、一向他にいいタイトルが思いつかない。正確にいうと、十五歳から二十一歳まで書いた作品群なのだ。
何かいいタイトルはないだろうか。
で、その<19>collectionに関しての話である。小説は断続的にしか更新されなくなって久しいのだけど、実は過去の作品で一つ、長篇を更新し忘れている。し忘れているといえばきこえはいいが、はっきりいってしたくなかったからしなかっただけ、今現在それをさてどうしようと思っているかというと、物理的にできるかどうかを別として(ファイルが開くかどうかあけてみないとわからない)、掲載しようかなと思っているのである。
なぜかというに、獣木野生というマンガ家をご存知か。
元は伸たまきと言った。よほどの人でないと知らないが、この人の根強い人気作品に「パーム」というシリーズがある。先日この人のホームページを見に行ったら、そのパームシリーズに書いたものに自身がランク付けをし「読まなくてもいい」「いやいや書いた」というのがあってたまげてしまった。読んだ私としては「そんなひどい作品だったか?」というレベルのものなのだけれども、本人は気に入らないらしい。それでも読者はそうとは限らない。
そうだ、本人の気分でせっかく生まれてきたものに日の目を見せてやらないのもかわいそうじゃないか、と、ようしいっちょ探して掲載してみるか、という気に今回なった。
出来が悪いというよりも、何よりもこれは「文学そっちのけのファンタジー」なのである。
書き上げたいきさつについては、高校時代の演劇部の友人が関係しているのだけれども、これは掲載するならば書くことにしよう。
で、ただ「文学そっちのけのファンタジー」なんて珍しい分野だから、気に入らないから、というだけでなくて、時代考証で掲載がひっかかっていたのだ。
「時代考証」というからには現代ではない。戦国時代である。で、タイトルを「巫女姫物語」というのだが、まあこのタイトルをそのまま使うかどうかは別として、友人の書いた脚本のストーリーがあって、それが最後に来るように話を起こし、前後に分けた、その前編で、とある伝説を下書きにして書いた小説なのである。
それで、時代考証で何がひっかかったかというと、「巫女」というものの位置づけで、これは山間の神社に所属する、いわゆる特殊能力(霊力といってもいいけど)を持つ巫女の話で、時代が戦国時代なのである。舞台は一応架空で勝手に作り出した場所なのだけれども、この戦国時代や中世の山村巫女の資料がない。出てくるものは大方遊女の資料ばかりである。私の探し方が悪いのかもしれない。
古代の巫女の資料はある。村であれば社で神につかえ、神おろしをし、時には村の男たちに性教育を施したりしたらしい。そこから定住せぬものと定住するものとに発達していって、定住せぬものが遊行婦女(うかれめ)などに発展していき、売笑すると同時に民衆に歌舞を提供した芸道の女たちになっていったということらしい(専門でないし読む資料によって若干違っているので断言できない)。
今回時代考証で必要とするのは山間村落の巫女が当時どうであったかということで、民俗学者柳田國男のものなど読んでいると、もしかしたら古代の伝統をある程度そのまま踏襲したりしていたのではないかと思ったのだ。でも話の性質上、巫女が神の嫁になり村の男たちが神となって婚姻の神事、つまり性交を行うとか、そういうものは書くわけにはいかない。第一現在の巫女には根強い高潔なイメージがある。(神に仕える=「聖職者」のイメージが相当根強いからだろうか。)
しかしまあ、作品の設定そのものが「特別」というふうに位置づけた巫女なので、完全に架空と位置づけた上で書いても問題はないかと思う。が、社会的地位だとか見方だとかいうふうなところである程度考慮は必要だろうかとも思う。まだ掲載するか、できるか、というところも微妙なところなので、どなたかわかる方がいらっしゃれば教えていただきたい(更新がはじまっても)。
とりあえず、今は架空に重点をおいて点検し、掲載できるなら掲載する、と断るにとどめる。
(2008年編集時後略)